A06実家売却は何から始める?相続した家の名義確認から査定・契約までの手順を整理
相続した実家を売るときの手順を、名義の確認から翌年の確定申告まで、6つの段階で整理します。相続登記の期限、媒介契約の3種類の決まり、仲介手数料の上限、売ったあとの長期と短期の考え方を、公的な資料と架空の例で見ます。売り先や価格、申告が要るかなどの個別の判断はしません。
進み方が分かれる3つの点
- 今の名義がだれか
- 遺産分割が済んだか
- 相続人が何人いるか
売るまでの6つの段階
- 1段目名義の確認
- 2段目遺産分割と相続登記
- 3・4段目査定・媒介契約と手数料
- 5段目売買契約と引渡し
- 6段目(翌年)売ったあとの確定申告
※遺言がないときなどの一般的な流れ。手数料の決まりは媒介契約のときに確かめる
出典: 国土交通省「不動産の売却を検討される皆様へ」
1段目 名義の確認
今の名義は登記事項証明書で確かめる記録された持ち主の名前が、親のままかを見る
親名義の不動産を一覧にする制度所有不動産記録証明制度・2026年2月2日から
名義は今だれ?
- 売りたい家の今の名義を証明書で見た?いいえ → まず証明書を請求する
- 名義は亡くなった親のまま?いいえ → 今の名義人を確かめる
すべて はい → 相続登記の対象になりうる・法務局で確かめる
※ほかの親名義の不動産は、所有不動産記録証明で一覧にできる。検索条件と違う氏名・住所で記録された不動産は載らない
出典: 不動産登記法 第119条・法務省「所有不動産記録証明制度について」
2段目 遺産分割と相続登記
分ける前は相続人全員の共有遺言がないときなどの一般的な流れ
相続登記の基本の期限
- 相続の開始親が亡くなる
- 知った日取得を知った日=起点
- 知った日から3年相続登記の申請の期限
※起点は、相続の開始と不動産の取得を、どちらも知った日
出典: 法務省「相続登記の申請義務化について」
2024年4月1日より前の相続も対象未登記なら2027年3月31日が期限の場合も
相続人申告登記では売れない名前が似た別の手続き・売るには相続登記が要る
遺産分割の成立から3年以内の義務も相続人申告登記では果たせない義務
3段目 査定と媒介契約
売る値段の意見には根拠を示す義務媒介契約を結んだら、書面を交付する義務
媒介契約の3種類(法律の決まり)
| 決まり | 専属専任 | 専任 | 一般 |
|---|---|---|---|
| ほかの業者にも頼む | できない | できない | できる |
| 業務の報告 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | — |
| レインズへの登録 | 5日以内 | 7日以内 | — |
| 有効期間 | 3か月まで | 3か月まで | — |
※報告・登録・3か月は専任と専属専任の決まり。登録の日数に休業日は数えない
出典: 宅地建物取引業法 第34条の2・同法施行規則 第15条の10・国土交通省「物件の売主の皆様へ」
4・5段目 手数料と引渡し
仲介手数料の上限(税込)
| 物件価格(税別)の部分 | 上限の料率(税込) |
|---|---|
| 200万円以下の部分 | 5.5% |
| 200万円超〜400万円以下 | 4.4% |
| 400万円を超える部分 | 3.3% |
| 例:1,000万円(架空) | 上限39.6万円 |
※依頼者の一方ごと。税抜の価格で計算した税込の額(業者が課税事業者の場合)。上限で、決まった額ではない
出典: 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
800万円以下は特例がある上限は30万円の1.1倍まで・事前の合意が要る
探す→交渉→売買契約→決済・引渡し国土交通省の資料の流れ
6段目 売ったあとの税金
譲渡所得=売った金額−取得費−譲渡費用ほかの所得と分けて計算する
取得費も取得の時期も親から引き継ぐ建物は減価償却費相当額を引く・不明なら売った金額の5%
長期?短期?
- 相続で取得した家や土地を売った?いいえ → この判定の対象外
- 親が取得した時から数えた?いいえ → 親の取得時から数え直す
- 売った年の1月1日で、親の取得から5年を超える?いいえ → 短期譲渡所得
すべて はい → 長期譲渡所得になりうる・税務署で確かめる
※所有期間は、売った年の1月1日の時点で数える
出典: 国税庁 No.3270・No.3202
長期と短期の税率
| 区分 | 1月1日の所有期間 | 所得税 | 住民税 |
|---|---|---|---|
| 長期 | 5年を超える | 15% | 5% |
| 短期 | 5年以下 | 30% | 9% |
※ほかに復興特別所得税。率は特別控除などを引いたあとの額にかける
出典: 国税庁 No.3208・No.3211
売った年と翌年の流れ
- 売った年の1月1日長期か短期かを見る時点
- 売った日家や土地を売る
- 翌年2月16日確定申告の期間が始まる
- 翌年3月15日確定申告の期間が終わる
※申告が必要なときや特例を受けるときの期間(原則)
出典: 国税庁 No.2020
空き家の特例は売る前に税務署で確かめる条件が多いので、別の回でくわしく見る
取得費加算は空き家の特例と一緒に使えない相続税の一部を取得費に加える・売る期限がある
よくある誤解とまとめ
よくある誤解と、正しい内容
| よくある誤解 | 正しい内容 |
|---|---|
| 相続人申告登記をすれば売れる | 売るには相続登記が要る |
| 相続したばかりなら短期の率 | 取得の時期は親から引き継ぐ |
| 仲介手数料はいつも上限の額 | 上限であって、決まった額ではない |
出典: 法務省・国税庁・国土交通省
売るまでの6つの段階
- 1段目 今の名義を確かめる
- 2段目 遺産分割と相続登記
- 3・4段目 査定・媒介契約と手数料
- 5段目 売買契約と引渡し
- 6段目 翌年の確定申告
出典
- 法務省「相続登記の申請義務化について」(令和8年4月1日)
- 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」(令和7年3月27日現在)
- e-Gov 法令検索「不動産登記法」第119条
- 法務省「所有不動産記録証明制度について」
- 国土交通省「不動産の売却を検討される皆様へ(売却の媒介委託者用)」
- e-Gov 法令検索「宅地建物取引業法」第34条の2
- 国土交通省「物件の売主の皆様へ」(令和6年12月・レインズのステータス管理機能のチラシ)
- 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」(仲介手数料の基本的な考え方)
- 国税庁 タックスアンサー No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)
- 国税庁 タックスアンサー No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期
- 国税庁 タックスアンサー No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁 タックスアンサー No.3211 短期譲渡所得の税額の計算
- 国税庁 タックスアンサー No.3258 取得費が分からないとき
- 国税庁 タックスアンサー No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 国税庁 タックスアンサー No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
出典を確かめた日: 2026年10月23日
このページについて
国・自治体などの公表資料をもとにした一般的な説明です。案内役のふみと聞き手のこうへいは架空の人物で、資格者による相談ではありません。例に出す家族も架空です。ご自身の場合は、税務署・法務局・市区町村、または専門家にご確認ください。
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